大胆な対談・第八部「まるたつの誕生!」

(辰)よし!ここからはワタシが聞き役だ。
(ま)えっそうなんですか・・・
(辰)資料によると1995年に日光にクロスカントリースキーに行ったのがきっかけでオンラインソフト作家まるたつとして誕生したそうだけど、どーゆーこと?
(ま)いやぁ、実はクロスカントリースキーで林間をさまよっていたとき漆にかぶれたんですよ。
(辰)なんかよくわからん説明だな?
(ま)コースの林に漆の木があったみたいでそれにかぶれたんですよ。一人で林をさまよって休憩時に手袋とゴーグルはずしてたら、もう顔と手がパンパンに腫れてしばらくは何も出来ない状態だったんスよ。いやぁ、自分ながら鏡を見てびっくりしましたよ。一応写真とっておきましたが元に戻るのに2ヶ月くらいかかりましたよ。
(辰)立ちションなんかしてたらもっと大変な事になったな。
(ま)・・・・・・。
(辰)そ、それでオンラインソフト作家になったつてのはちょっと無理な展開じゃないか?
(ま)だからとても外に出られるような顔じゃなかったンですよ。例えるとKO負けして一日たったボクサーみたいなものでしたよ。そんなんで他にすることがなくて部屋に閉じこもってMacで遊んでたんですよ。そしたら今まで解説書を読んでもよくわからなかったHyperCardが突然使えるようになったんで、スタックってのを作ってみたんですよ。ボタンをクリックするとカードが移動するだけの単純なものですけど。その頃はまだHyperCard2.1Lite版が無料でバンドルされてて例のおまじないで限定を解除していろいろ遊んでみました。
(辰)でも、ただ作ってるだけじゃ面白くないんじゃないの?
(ま)そーなんですよ、川崎さん!
(辰)誰なんだよ、それ?
(ま)え〜とそれで今はなくなったMacUser誌に投稿したんですよ。ボタンをクリックすると画面が変わるだけの簡単な仕掛けのスタックですけど、当時の感覚ではインタラクティブマルチメディア(笑)ですよ。そしたらそれが掲載されて付録CD-ROMに収録されたんですよ。いやぁ、うれしかったなぁ、あれは。
(辰)うんうん、ワタシも初めて自分の作品が印刷された時はうれしかったよ。おんなじような気持ちだろうな。
(ま)それで気をよくしてどんどん投稿したら全部掲載されてすっかり嬉しくなって、もっと本格的な作品を作りたくてHyperCard2.2の製品版を買ったんですよ。これだとカラーも扱えるンでね。
(辰)そうか基本的にはHyperCardは白黒だもんな。
(ま)で、カラースタックを作ったら色が表示されないんですよ。調べたらHyperCardの割り当てメモリを3MB以上でないとカラー情報が欠落して白黒の部分だけが表示されて凄くみっともないことになったんですよ。そんなこんなの試行錯誤の中で雑誌にのるだけじゃあ満足出来なくなってNIFTYのライブラリに登録しようと思ったんですよ。ところがこれがうまくいかない。転送終了にあと数パーセントを残すところでエラーになったりと悲しい日々が続きました。半年後モデムを内蔵から外付けに換えたら嘘のようにうまくいきましたが、いったいあれはなんだったんでしょうね。
(辰)ワタシに聞いても知らんよ。
(ま)その間ハイパーカードのスタック作りも暗中模索で苦しみ、ある時行きつけの美容院ですそを刈り上げてもらったら円形脱毛を発見されてやんの。元に戻るまで二ヶ月くらいかかりましたけど。
(辰)う〜む、やっぱり何ごとも禿げるくらいやらなくっちゃダメだってことだな。
(ま)それで毛も生え揃った頃アップロードを再開してこれを機にまるたつの名前で作品を発表することにしたんです。そんなある日テクニカルライターの浪江貴実孝氏からメールが届いたんですよ。内容はNIFTYに登録していた「オチがいっぱい2」という落語データベースのようなスタックを氏が担当しているギャザピー誌のコーナーに掲載したいというものでした。
(辰)それでちゃんと掲載されたの?
(ま)ええ、でも掲載号が休刊号でした。
(辰)な、なんか前途多難だね・・・
(ま)だけど作品はバンバン作りつづけましたよ。その後も他の雑誌のCD-ROMにも収録されるようになりましたし。次に手を染めたのがコーシングラフィックのキューティマスコットです。
(辰)ああ、あのデスクトップで動くかわいいアニメーションだね。
(ま)これもいろんなのをたくさん作りましたよ。そのうちの一本は南米在住の日本人から感想のメールが来たりと、手ごたえを感じました!
(辰)ふ〜ん。グローバルだね。
(ま)あのぉグローバルの意味知ってます?
(辰)し、知ってるよ・・・としまえんのキャラクターでグローバルだいちゃんっていうダイコンのキャラクターがいたのだって知ってるよ。
(ま)もう、いいですよ。
(辰)他にはどんなソフトを使用して作品を作ったの?やっぱりディレクターとか?
(ま)そ、そんな高いソフト買えませんよぉ。みんなMacっていうとオーサリングならディレクター、グラフィックならIllustrator、Photoshopとしか言わないけどこれらは高価だし誰にでも使えるもんじゃないでしょ。僕なんかこの当時はペイントイット!でほとんど画像制作してましたよ。これは実売価格3000円くらいでしたね。前述の2ソフトは今でも高いし当時も高かったけど、ほんとにみんな正規ユーザなんだろうか?
(辰)おっ、けっこー鋭い意見いうじゃないの。もっと言ってみる?
(ま)そ、それでオーサリングソフトで次に買ったのがコーシングラフィックのQTアルバムですよ。
(辰)コーシングラフィックが好きなんだね?
(ま)この会社今時珍しくMacのソフトだけを開発するソフトハウスでかげながら応援してるんですよ。NIFTYのコーシングラフィックフォーラムで質問すると開発者から直接お答えがきたりして実用面でもすばらしいんですよ。
(辰)他にはどんなソフトを?
(ま)GREENの体験版も使ってみました。これは体験版なのに保存ができる太っ腹で何作か作りました。ver2になったら買おうと思ってたらver2 はWin版しか出なくてショックでした。
(辰)う〜む、最近そーゆーのもよくあるみたいね。
(ま)でも明るく頑張ってたわけです。雑誌に掲載されたりするとそれを見た人からメールが来たりして楽しいもんですよ。
(辰)まるたつPOWERの広島風お好み焼きレシピは元データはこの頃作ったんだって?
(ま)ええ、QTアルバムで作った時の画像ファイルをそのまま使ってます。ペイントイットでマウスのみで描いたもので今となってはなつかしい。この頃はLC575漢字トーク7.1(8MB/320MB)で制作してましたしコンシューマ向けの機種で低価格ソフトを使うだけでもいろんな作品ができることを声を大にして言いたい!
(辰)わ、わかったから耳のそばでどなるのはやめてくれ〜
(ま)スタックやマスコットの他に画像ファイルもリリースしたところ好評だったんですよ。
(辰)暑中見舞いとか年賀状のデータだね。
(ま)ええ、今まではフリーウェアだったのでユーザ登録の義務はなかったのですがこれらはシェアウェアにしたんです。といってもデータを使用したお年玉クジ付き年賀状を送ることを条件にしたお年玉クジ付き年賀状ウェアというものですが。
(辰)それで反応は?
(ま)それが二桁台の反響があったんですよ。それぞれ素材の生かし方もちがってて面白かったですよ。
(辰)ほぉ、そりゃすごい。
(ま)でも画像は手で紙に描いてもいいわけでしょ。やっぱりコンピュータを使うならもうちょっと本格的なプログラムを作りたいのが人情でしょ?
(辰)そうなのか?
(ま)そこで出会ったのがOracle Media Objects(略称OMO)です。STEPがつぶれるちょっと前で安売りしてて、たしか19800円くらいだったので買いましたよ。
(辰)またしても低価格ソフトだな
(ま)OMOはHypercardが正常進化したようなソフトでスクリプトも似通っていてカラーやサウンドに関してはHypercardより優れてましたから、これからはOMOスタック作りでいこう!と決意したんです。そのうちインターネットでOMOスタックがそのまま動くプラグインも出るっていってましたしね。
(辰)たしかWinでも動くんだよな?
(ま)ええ、知人のWin機で自作OMOスタックが動いた時は嬉しかったなぁ。
(辰)そんな素晴らしいOMOスタック最近見かけないよ。
(ま)もう開発中止になったんですよ。プラグインも結局出なかったしOMO関係のNIFTYの会議室も寂しいもんですよ。もうこのままソフトもどき作りも終わりかなぁと思ってたら前述の浪江貴実孝さんからメールをいただき作者友の会に入らないかと誘われたんですよ。
(辰)なにそれ?
(ま)Macのオンラインソフトを作ってる作者の集まりですよ。ここの皆さんに出会わなかったら今日の僕はありませんね。
(辰)おっ、また大きく出たね。
(ま)これについては第九部でどうぞ。その前にちょっと休憩を。
(辰)はいはい。
(ま)はい、は一度だけ。はいはい、は赤ちゃんですよ。
(辰)・・・。


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